Sirius~星がくれた恋~ #36

チャンミンがゴソゴソと寝袋から這い出ても隣で眠るユンホが目を覚ます事は無かった。
いくらタフな体とは言え、初めから二度も抱いてしまうとは…自分がどれ程この時を待っていたのかと、思わずチャンミンは苦笑いをし。
そっと、ユンホの目尻に触れ。
軽く唇を合わせてからその場を後にした。
別荘の1階の部分は暖房を緩く掛けっぱなしにしていたので、さほど冷えは感じず。
お腹を空かせてそのうち目を覚ますであろうユンホの事を思って、昨夜の残り物と簡単なスープを作ろうとチャンミンが動き出した時。
玄関部分からゴトンと物置がする。
……昨夜、しっかりと施錠はした筈…
念の為、玄関脇に立て掛けておいたスコップを握り締めてそっと玄関の扉を開けた。
「あっ、、」
「おっ!君は…確か…」
その人物はユンホの父親であった。
彼の手には袋のような物が見え。
「あ~・・こっそりと食料を置いて帰ろうかと思ってたんだが。…そうか、君がユノの大切な人だったんだね」
「…すみません」
「おぉ、いやいや!勘違いしなくてもいいよ。私はそんな偏見は無いんだ、ユノにはユノの人生と言うものがあると思っているから」
「そうですか…あ、中に入りますか?ここでは冷えますから」
「ん、いや私はもう戻るとするよ。ユノを差し置いて君と話しをしていたらあいつから叱られてしまうからね」
笑った顔が本当にユンホに似ているとチャンミンは思った。
そして、息子の相手が生徒で同性だとしてもこの人は受け入れると言った。
その事が更にチャンミンの心を溶かし、ユンホへの愛情を膨らませる要因になっていた事を。
当のユンホは知らぬまま。
目が覚めて、節々の痛む身体を引き摺りながら階下へ降りた時に。
チャンミンが鼻歌を歌う程に機嫌が良かった理由に首を傾げていた。
そして、ただ単純にこう思ったのだった。
…こんなに機嫌のいい彼が見れるなら、抱かれるのも悪くは無いのかな…
*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*
ユンホとチャンミンが一つになったあの夜からまた二人は会えない日々が続き。
チャンミンは受験の追い込み、そしてユンホはそれを邪魔をしたくない一心で連絡は極力取らないようにし。
それでも会いたい時は揃いのステッカーを眺めて春になったら…とお互いの寂しい時間を埋めたのであった。
けれど。
生徒とそういう仲になるという事がユンホをどんな立場にあるかを分からせるような事件が。
合格の知らせと共に学校に舞い込むとは………
教員室のデスクマットに挟まれたステッカーに想いを馳せていたユンホにもう迫って来ていたのだった。

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