2016_04
28
(Thu)00:00

Moon Drop 前編


…ふぅん…この若さでか。へぇ、子供の身代わりね。










綺麗な寝顔、まだ命を落とすにはいささか惜しい気がする。
年頃は恐らく24、5と見た。

まぁ、寿命と言われればそれまで。
けれどそれを伸ばすも殺すも自分次第とくれば彼はどうするだろう。

必死になって自分を探し出すまでか…

どれ、そろそろお目覚めの御挨拶でもするか。





「おい」

「………ん、…んん、、」

「起きろ、目を開けた時点からカウントが始まるぞ」

「…カウント…?」

「目を開けたな。俺が見えるか?」

「………はい。…でも、貴方は誰ですか…」

「さぁな。俺も正直、分からないんだ」

「は?え、、ちょっと待って下さい…なんだか頭がすっきりしなくて・・えっ、、僕って……」

「誰だろうな」

「………」

「それをこれから探しに行くんだ。立てよ、ほら」

「あ、すみません…ってここは、、」

「どこだと思う?」

「貴方…さっきからはぐらかしてばっかりですね…」

「はは、拗ねんなよ。一気に現実を受け入れられないから徐々に教えてやろうとしてんの。一応は俺の気遣いなんだけどな」

「…そうですか。すみません」

「いや、いいさ。まだ実感湧かない筈だし」

「じゃあ………僕は、死んだんですか…」

「…あぁ」

「貴方は死神ですか、まさか…天使?」

「まさかの天使だな。ま、見習いってとこだけど」

「はぁ…イメージと少し違ったので…」

「まぁな。何でか俺だけが黒い服なんだ。天使の象徴の清いイメージってのも無いしな」

「そうそう、それですよ。髪も赤いですし、ピアスだってしてるし。…ぷっ、変な天使…」

「おいっ、、まぁ、笑えるだけ気持ちに余裕があるなら簡単に見つけられそうだし。じゃ、早速降りるか」

「降りるって…?」

「お前がいた場所だよ」









俺は見習い天使。
下界と天国を繋ぐ中間点が居場所だ。

一度だけ大天使ミカエルに会った事があるが、それはそれは想像通りの天使っぷりに唖然とした覚えがある。

それに比べて俺の身なりはどう考えたって天使とは程遠い。

厄介だが、恐らくまだちゃんとした天使にはなれない段階では下界で亡くなったままの姿でいるしか無いのだろう。
そう自分で結論付けては今もこうしてその身なりのままで過ごしている。

だが、その所為で目を覚ました人間に幾度も死神に間違われてはその説明に時間を費やしたりもした。

けれど今回俺に割り振られた青年は飲み込みが早いと言うか、柔軟と言うか。

赤い髪、耳にピアス、黒い服。
そんな俺の差し出した手を取っては素直に従う。

下界に降りると思いきや、地獄だったらどうするんだろう。

しかし、俺の心配をよそに無垢な青年は引き寄せられた腕の中にそっと大人しく収まった。


彼からは…太陽の匂いがする。


俺は死者を再び生き返らせる水先案内人。
記憶を無くした者に自分を取り戻すチャンスを与えるべく下界へと導く。

今の所、俺の元に来た者は全て元の居場所へと戻れている。

この彼は程良く焼けた肌、そして太陽の匂い。
自然に満ち溢れた土地で何かをしていたのか…

僅かなヒントを頼りに俺がピンポイントにその地を選び出す。
それが俺の仕事だからだ。今までも大きく外れた事が無い。





ここだ。

ソウルから少し離れると途端に田舎の風景になる。

けれど、この地が彼を呼んでいた気がした。

さて、彼は何者なんだろう。
それは彼自身が見つけるしかないが…



「どうしてここに?」

「お前にこの土地が似合う」

「ふふ、そうですか?結構田舎な気がするんですけど…」

「不満なら自分に言えよ」

「はは。ですね」



寝顔だけでは判断出来なかった情報がポロポロと溢れ出す。
笑えば花が綻んだ様に柔らかい顔になり、拗ねれば年頃よりも幼さを醸し出す。

不思議な奴だ。



「僕らの姿は見えないんですね…」

「そうだな。でも物に触れる事なら出来る」

「へぇ…そっか。何だか不思議です…」

「……で、何か感じるか?」


取り戻すまでに与えられる時間は各々で違う。
彼の残された時間は俺にも分からない。

それならば早めに手掛かりを探すにこしたことはないのだが…


「貴方はあそこでずっと一人で居たんですか?」

「あそこ…?」

「僕が目を覚ました所です」

「あぁ…まぁ友達なんてものは居ないから一人で気ままにやってたかな」

「見習い同士の交流とかは無いんですか?」

「………無いけど。何だよ、俺の事なんかどうでもいいだろ。それよりも自分の情報を探す方を優先しな」



可笑しな奴だ。
今の今まで一度も俺に興味を抱いた者なんていやしなかった。

それこそ自分探しに躍起になって、自分の居場所を見つけたら満面の笑みで俺との別れを喜ぶ。

誰だって生き延びたい。
それが人の素直な想いだからだ。



なのにだ。




「ここで貴方なら何がしたいですか?」






俺に興味を持って何になる。
けれど彼の目は俺をからかってはいなかった。

「…キャッチボール」

俺も咄嗟に口にしたにしては笑える事を言った。

だけどそれが俺の本当にしたい事だったんだ。








「下手くそ!」

「はは、、」



陽が落ちるまで気ままに田舎町を歩いた。
ここで彼が育ったのか。それともここが彼の勤務地なのか。
その情報を掻き集める為の探索じゃなく、ただの散歩の様にふらふらと歩くだけ。

そして、太陽が身を潜めた代わりに月が顔を出した頃。
俺達は小学校のグラウンドに立っていた。


もし、ボールだけが宙を飛んでいるのを誰かが見たら怪奇現象だと思うかもしれない。
その危機感を抱きつつキャッチボールに興じるのが堪らなくスリリングで。

俺は知らぬうちに高らかに声を上げて笑っていた。


「あははは、、、ちょっと休憩しましょう」

「お?もう根を上げるか、そう言えばお前って文科系っぽいもんな」

「あ~、多分そうなんでしょうね。でも、やっぱり息が上がったりするんですね。今って仮死状態だから?」

「そっ。そう言うこと」


そう。彼の息は走れば上がるし。
精神状態とは言え、疲労も蓄積される。

何故なら、それがまだ生きている証だからだ。

まぁ、俺は…違うけど。






「お前さ。焦らないの?」

「………」



煌々と月明かりに照らされる彼の横顔が、何だか儚げで。
それが焦りから来る感情の表れではない事を読み取れた。



「…明日は何をしたいですか?」

「お前ね、、、生き延びたくないのか!?」





「ユノさん」


澄んだ空気を切り裂く、彼の通る声。

と、同時に全身をふつふつと熱が駆け抜ける。



「は…なんだ、、よ…その名前……」



震えが止まらなかった。




「ユノさん…僕は貴方に会ってちゃんとこうして御礼がしたかったんです、、、」


「え……お前…」


「ユノさん!、、、」





ぶわっと花弁が舞った。
彼をその場に残し、俺の身体だけが空へと舞い上がった。






「厄介ですね」

二度目にお目にかかれた大天使様の放った一言がそれだった。

死者が名前を取り戻す事、それは即ち蘇生を意味する。

彼はどの段階で自分を取り戻したのか、それに俺は気付かなかった。

そして、彼は自分を取り戻すと共に。
何故か俺の名前までも思い出してしまったんだ。

「はぁ…、本当に厄介です。貴方は昔、与えられたチャンスを自ら逃したのを覚えていますね?」

ミカエルに初めて会った時、俺は見習い天使に楯突き。
下界には降りないと暴れたのが理由だったからだ。

自ら棒に振ったチャンスがまた湧いてきた。
それをこの大天使は困り果てた顔で嘆き。

「何故に貴方がいつまでも下界に居た時のままの姿でいるのかと、我々も不思議に思っておりました」

「見習いだから、じゃないのか?」

「見習いでも、皆、時が経てばそれらしい姿になるものなのです。はぁ、まあまたチャンスが訪れたのなら。それも神の悪戯と思って受け入れましょう」

「…俺を戻すのか…?」

「今度は断れませんよ。はっきり言いましょう、貴方は次の満月の夜までが期限です…また棒に振りますか。それとも。自分を取り戻しますか…?ま、貴方次第ですね」




俺が下界へ……

なぁ…肉体は、、、滅びたんじゃないのかよ……?






私事ですが、このお話はいつも仲良くして下さる紫苑☆さんに贈ります♡
紫苑☆さん、お誕生日おめでとう御座います+゚。*(*´∀`*)*。゚+ 






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C.O.M.M.E.N.T

紫苑さんお誕生日おめでとう★.。・:*:・゚`☆.。・:☆♪

あゆさんこんにちは❣
今日は 👼天使ユノさんのお話ですねぇ〜

そして 紫苑さんお誕生日おめでとうございます🎂🎉🎉🎉
【ネ兄】才×〒\├-★.。・:*:・゚`☆.。・:☆♪
あゆさんが素敵なプレゼントを
してくれてますよ(♡ˊ艸ˋ)むふッッッ♬*

紫苑さん同じ4月生まれでしたねっ❤❤
なんか嬉しいです🌸


あゆさん チャンミンは子供をかばって
死にかけてるみたいだけど
なんでユノさんの名前を知ってるん
だろうね??←←ここポイントかしら??

あゆさんゴールデンミッション見ましたか??
次回予告でチャンミン空振り
してたし……( ̄∀ ̄;)へへへ
チャンミンとならスポーツ対決しても
なんか勝てそうな気がする……( ・ิ౪・ิ)

2016/04/28 (Thu) 14:45 | くみちゃん #- | URL | 編集 | 返信

くみちゃん様

くみちゃんさんこんばんは( *´艸`)コメント有難う御座います♡

カリスマコメンテーターも企画にサプライズに大忙しですね〜ヽ(〃∀〃)ノ
そんな誠実なくみちゃんさんが好きよ〜〜♡♡

そそ、今回は天使ユノしゃん。
何もネタが無くて、ごそごそとAliさんの小部屋を漁っていたらこの画像に見惚れちゃって///
そこから一気に作ったからファンタジーになってしまいました(笑)
だから謎は謎のままかも………(;-ω-)ゞふぃー。

ミッション見たよ〜♪♪
ふは!チャミペンが言うかそれを〜〜ヾ(≧▽≦)ノ゙ゥキャキャ☆
でも、空振りって本当に可愛いよね(笑)あー、何しても愛おしい♡
ユノもキレてよだれ垂らしてたのが一番萌えちゃって(〃艸〃)ムフッ
可愛いを連呼してましたわ♡

そうそう、TBを囲んだサジンね。
全く同意見だったからあとでLINE読んで笑ったよ(笑)
公開家族写真だし、ユノの腹に目が行くしで(笑)!!!
みんなそう思ったんじゃないの!?
あのブサカワTBへのしな垂れ感、やっぱり嫁だよね

2016/04/28 (Thu) 20:55 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

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