2016_04
21
(Thu)00:00

Feeling 後編







僕は。別に男が好きなわけじゃない…




大学で友人に誘われて入ったサークルが元凶の始まり。

面倒見のやたらいいと思っていた先輩が、いつからそんな目で自分を見ていたのか、、、


関係を拒めば、力づくで手篭めにされ。
痛い思いをしたのは数え切れない程。

先輩がサークルを抜けてホッとしていたのも束の間、あの手この手で部屋に呼び出されては、サークルにいた頃となんら変わらない日常が続き。

その内、僕が諦めた。
抵抗する事も。好きなように犯される事も。

そして。
こうも思ったんだ。

先輩は僕が好きなのか?



けれど、それも違った。

僕をサークルに誘った友人から、先輩が綺麗な彼女を連れて歩いてたと聞かされて。
その事実を先輩の口から聞き出そうとしたら…

『何?お前、俺に惚れてたとか!?俺はさぁ、お前が綺麗な顔を歪めて泣くのが好きだっただけ、ただそれだけなんだから。嘘だろ…勘弁してよ』


この先輩の面倒な物を見るような顔を。

僕は忘れようとしても忘れられなかった、、、









しかし。

色々と説明が付かない、非常に皮肉で整理し切れない事が残った。



先輩との関係が終わってから、想いを告げられて付き合った女性を。
自分の中では大切にしていたつもりでいても。

気持ちとは裏腹に。

身体が何故か常に物足りなさを抱え。
終いには自分の方から別れを告げる羽目に陥った。

とても素直で優しく。
将来を共に過ごすならこんな人だろうと自然と考えられていた女性だったのに………



なのに。

彼女が泣き崩れる姿を目の前にして、僕はあらぬ事に意識が飛んだ。

涙を流して訴え掛け、嫌々抱かれ続けていた自分の姿を彼女に重ね見。

そして在ろう事か、、、勃起をしてしまっていたんだ…


だから僕はその熱を鎮める為に、一晩だけの関係を求めた。

それは。

勿論。


僕を虐めてくれる……男性のみ。










朝一で社内のイントラネットを確認するのが僕の日課だ。
 

…チョン・ユンホ、今日は殆ど居ないのか…


経理課の僕とは対照的にいかにも営業向きなタイプの彼の事が気になり出したのは。
一晩の相手を探し出す時にイメージを思い浮かべると、それがチョンさんに一番近かったからだった。

理想的な偶像が同じ社内に居る。

けれどもその人とどうこうなりたいとは考えてはいない。

なのに、自然と彼の動向をチェックし。
関わりが出来るとしつこく追った。


そして。

彼が自分の言動に対して、苛立つ感情を剥き出しにされる度に精神がゾクゾクと震えた。


この顔……目付き……口調。


やはり。理想的、、、



チョンさんに絡んだ日はその興奮を抑える事が出来ない。

スマホを検索する指は震え、理想に近いSPECを見つけ出すと鼻息を荒くした。











まさか……っ、、



願ってもみなかった相手が、ホテルの約束の部屋で出迎えるとは。


現実と妄想の狭間で混沌し、結局僕は逃げた。


なのに、彼は引き下がらなかった。

そして僕を許さなかった。





夢に描いた彼の唇、彼の匂い、彼の形。

想像以上の大きさに身体が震え出し。

喜びのあまりに穴を広げる指さえも覚束ず。
解し切れずに怒鳴られた声にも興奮が止まらなかった。


彼は言葉責めよりも、行為で僕を虐める。

縛って拘束し。
抵抗を楔で打ち消す。

泣くのを望んでいる気がして、僕は必死に涙を堪えた。


そうする事で彼が更に僕を辱めさせようとするんじゃないかと期待をした。


そして期待通り彼はやってくれた。




彼の逞しい肩に僕の脚が抱えられる日が来るなんて、、、




打ち付ける肉弾の音がこのまま止まないで欲しい、それが僕の本音だった。





でも、翌日。

何事も無かったように挨拶を交わすチョンさんに現実を突き付けられた。

…一晩の相手と。
割り切っていた筈だったけれど、、、

腰から下が力を失ってそのままトイレに駆け込んだ。

けれど、その後を追って来た彼に驚き。

脅されている写真の存在なんてどうでも良かった…


彼がまだ自分との関係を続けたがっている事に興奮をして、動悸の激しい胸を悟られないように必死に隠した。


彼が僕を追う。

その理由は分からない。



しかし、ずっと追って来た相手に追われるのは爽快で、愉しかった。

どうかこのまま…この関係を続かせたい……






僕のその願いはある意味、今も叶っている。

でも、、、違うんだ…っ…何かが違う…




「明日の夜。…予定空けとけよ」

後ろから揺さぶりながら彼がそんな事を口にした。

身体の関係を持ってから、ずっとこうして毎晩のように二人は繋がっている。

何を今更アポなんか…



「観たい映画が明日で終わるんだよ」


だから…?



「…チケット、二枚あるんだ。お前と行きたいと思ってる」


何だよ…それ、、、



「何も答えないなら無理にでも連れてくぞ」



僕はその時、何かを言おうとしたんだ。

でも、、、喉の奥に詰まって声が出なかった。



暫くして彼の舌打ちが聞こえると。
尚一層激しく腰を打ち付けられて僕は意識を飛ばした。



どうして……。

こんなの可笑しい。





期待するな。
………いい加減、学習しろよ…僕、、、








でも………約束通り彼は自分の仕事が終わるとは僕の前に現れた。

正直、一日中仕事どころじゃなかった。


「おい。行くぞ」

有無を言わさずにその目が拒む事を許そうとしていない。

「…すみません、その前にちょっと…」



……会社を出る前に呼吸を整えなければ、、、

出すものも無いのに突っ立ってみても、やはり出ないものは出ない。

その代わりに出るのは溜め息。


「シムって…今もそっちの気があるんだ?」


声を掛けられて初めて隣に居た人の顔を見た。

どこかで見たような気がするけれど、同じ社内だからそれは当たり前か、、、

それに今はそれどころじゃ無い。
気持ちを落ち着かせて早く彼の元へ戻りたい。


「何だよ……無視すんなって」

手を洗ってさっさと用を済ませて出ればいいものを、そいつは僕が終わるまでトイレを出ようとはしない。


「…僕に用があるんですか?」

至って冷静に、けれどまだ心臓は落ち着かない。
外で待たせている人の事で頭が一杯だからだ。


「うわ、噂通り…いいね、その顔で泣いて善がるんだろ?」

「…一体、何の話ですか」

嫌な予感しか無い、、、



「ま。覚えてないか。俺はお前の"先輩"からよーく話は聞いてんだけどね」

「・・・・」

「……なぁ、一回でいいからヤらせてくんない?」


さい、、あく……だ……なんで……







「駄目だ」    


  、、、っ!


「チョン!?」

「悪いがお前じゃ無理だ」

「は、、?ってお前ら…まさか…」

「こいつを泣かせていいのはお前じゃ無い。この俺だけ。なぁ、シム」

「はっ、、マジかよ、、、洒落になんねぇな、、」

「別に俺は洒落でこんな事やってねぇよ…分かったならさっさと消えろ」

「、、くそっ」




夢……?
これは何だろう、、、



「あ~ぁ、、お前…何で泣いちゃってんの?さっき言った事への同情とか?実際、俺の前で泣いた事ねぇもんな」

「あ、、の……ちがっ、、」

「別に無理して喋べんなくていいぜ。それにお前の過去とか気にしねぇし。取り敢えず今日は止めて飯でも食いに行くか」

「あの、、!」

「ん?」

「……なんで、、、そんなに…近頃、、優しくするんですか、、、」

「はぁ?……優しくしちゃ悪いかよ」

「えっ…」

「お前はさ、俺とは身体だけの関係って割り切ってるんだろうけど。俺は…、可愛いって言うか。シムが笑ったら可愛いんだろうなって。そんな顔するなよ。俺は気持ち悪いか?」


違う

違う、、、、!!



「こわ、、い、、チョンさんを好きになるんじゃ無いかって…怖かった、、から、、、」


「………ばーか。やっと言ったなこの野郎」

「…な、、に、、?」

「やっとさぁ、お前の底の感情。見えた気がした。よしっ、飯も止め!」

「えっ、、、!?」

「こんなくそ可愛い泣き顔見せられて…外で飯食える程、俺は余裕ねぇの」

「うわ、、ちょっと、、ンッ、、、っ、、!」

「やべ。お前反則、、、そんな顔絶対に俺以外に見せんなよ。ったく…」






結局、その事件がキッカケでお互いの誤解は解け。
その夜からは打って変わって甘い姿を見せるユノに戸惑いながらも。
僕の中でも少しずつ彼に対して変わっていったものがあるらしく。



飽きずにこんな関係が続いて早ニ年が経つ。



「シムさんの手料理が美味しいってデレてましたよ」

「はぁ、、、いや…大した物は作って無いんですけど…」

「えぇー!?でもシムさんも凄く嬉しそう~」

「あ、、いや、、」


照れて真っ赤になるなんて。
昔なら有り得なかったと思う。


元々カミングアウトをする気の無かったユノが、自分は男性にしか欲情しないと宣言をしたのは突然の事で。

そんなユノが毎日付き纏っていたのが僕である。

【経理課の堅物のシム・チャンミンを落とすのは営業のエースチョン・ユンホ!】と、専ら流れ回っていた噂のオチはそんな感じで終息を迎えた。


けれども、その代わりに今度は二人の動向が囁かれるようになり。

その度に僕は眠っていた感情を引き起こされてあたふたし。

ユノは前よりも何だか余裕で僕に接しては、僕のコロコロ変わる感情に目を細めた。




でも、僕はそれにもう蓋をしたりはしない。


だって。



僕のfeeling(感情)の全ては。


チョン・ユンホ、彼に繋がるんだから。












end







明日、おまけがあります。。。



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おおーーーー!!!!!

2016/04/21 (Thu) 01:22 | 723621mam #- | URL | 編集 | 返信

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2016/04/21 (Thu) 05:27 | # | | 編集 | 返信

723621mam様

mamさん……何この雄叫びは(笑)
究極のコメントだね( ̄m ̄〃)

2016/04/21 (Thu) 09:14 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

na***様

na***さんおはようございます( *´艸`)コメント有難う御座います♡

ほほほほ〜〜(。>∀<。)思わず前編を読み返しましたでしょう!?それですよ、まさにそこ!私の仕組んだ仕掛けに嵌って頂き嬉しいです〜〜(੭ु ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭ु⁾⁾

本気で腐りかけてるna***さんと同意見です(°0°)‼
あら、一杯やりながらお話しますか(笑)?
そうなんですよね、同性同士のキッカケなんて凄く曖昧だと思うんです。
このお話のシムチャンミンのように性癖を植え付けられしまい、男の味を覚えてその世界にのめり込む人もいるみたいですし。
ユノは真性のゲイで設定してますけどね(笑)

その身体の関係から心まで繋がるのもまた男同士特有だと思うんです。
男の人って単純ですもんね。そのうち情が出ちゃうから♡
だからトンもね(笑)
例えば、喧嘩→弾みでユノがシムにキス→シムが激昂→それを更に押さえつけて縺れ込ませ肉体関係の仲へ→その後で心が育つ

ね(笑)?

へー!愛方さんはそちらへ行かれる予定だったんですね!!
ふむふむ〜そうでしたか〜〜〜
事前に準備しない方が楽しめると♡やー、行きたい(笑)
詳細有難う御座いました♪♪

2016/04/21 (Thu) 09:26 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

(//∇//)

あゆさん、こんにちは〜
何だか改めてコメントって...照れちゃうんですけどぉ♡(∀`*ゞ)テヘッ

いやはや...もう詳細を申し上げるまでもなく、あゆワールドそのものといいますか
私が貴女様ののお話にハマって一気に読んだ事を思い出してしまいました

ユノとシムという事を抜きにして、個人的に超悶絶させて頂きました(*/ω\*)
久しぶりに身体のあちこちが疼くというか…節々が痛むというか...(←風邪じゃね?)おかげですっごい良い夢を見ちゃいましたよ!

ああ、、、
まだまだ師匠の背中は東京ドーム天井席から見えている二人くらいの遠さです(><。)

2016/04/21 (Thu) 14:40 | ゆんちゃすみ #- | URL | 編集 | 返信

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2016/04/21 (Thu) 15:15 | # | | 編集 | 返信

ゆんちゃすみ様

ゆんちゃすみさんこんにちは( *´艸`)コメント有難う御座います♡

お互いにお疲れ様でした(笑)いや〜これこそ密事でしたね( ̄m ̄〃)
隠すのも知らせるのも大変だわ〜〜(笑)

東京ドームの天井席ヾ(≧з≦)ゞブッ
それはゆんちゃすみさんの中のワースト席の思い出ですよね(。 >艸<)ふふふ。

このドヤユノは私の引き出しには無いのでかなり妄想を膨らませながら書きましたよ〜!
やっぱりこんなユノさんが皆様のお好みなんですね。実感しました、ふむふむ。

有難いお言葉の数々、素直に嬉しいです(*˘︶˘*).。.:*♡

節々が痛い(笑)それは・・・いえ、、なんでもありません(๑¯ω¯๑)

2016/04/21 (Thu) 15:16 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

ひま***様

ひまさんこんばんは( *´艸`)コメント有難う御座います♡

なはは(笑)論文(。>∀<。)そう言えば前にもレポート纏めてくれる有能な助手がいましたね〜♪懐かしい!

ね♡理想の相手が目の前に居るのに、それを恋愛対象に出来ないのが同性愛の壁なんでしょうねค(TㅅT)ค
でも…ユノとチャンミンならどんな境遇であれ結ばれる💕きゃー///と一人でバタバタしております(笑)

個人的には明日のおまけが一番好きなんです( *´艸`)ふふ。

2016/04/21 (Thu) 20:10 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

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