イクメンウォーズ #29

「一緒に入りませんか…お風呂に」
勇気を振り絞って言ったんだ。
「……いや、先に入って来いよ。俺は後で入るから」
まさか、空振り…
なんて…
今更、後に引けない。
「…嫌なんですか?僕と入るのは…?」
キッチンから出て、一歩ずつ距離を縮める。
「な、、どうした?…急に」
そんなに戸惑われると更に、引き下がりたく
ーーーーない。
「嫌なら力強くで拒んで下さい」
そうしてまた一歩、近付いた。
園長の前であれ程強めに出たのに…
実際にその体に触れる指は、震えてしまい。
ダンガリーシャツのボタンを上から順番に外すだけなのに。
鼓動が早鐘を打って、口から心臓が飛び出る位に緊張する。
本当に嫌なら拒めばいいって言ったけど…
園長はさっきから何も言わずに突っ立ったまま僕にされるがままだし。
僕だって、、、ここまで来たら意地でも引き下がりたくない、、、、
でも………あまりにも恥ずかしくて。
絶対に上を向けないんだ。
園長がどんな顔をして僕の行動を見ているのか。
それが本当は怖くて。
見れないのかもしれない。
漸く、シャツのボタンを全て外し終わり。
次はチノパンのベルトーーーそう思って伸ばした手を。
突然、掴まれる。
「お前さ…可愛い顔して、結構鬼畜なんだな」
一定のトーンで頭の上から降って来る声。
男らしいって言ったかと思えば、鬼畜なんて言ってみたり。
何が言いたいんだよって、、ってそう思って顔を上げれば。
そこには眉を下げて困惑の表情を浮かべたまま僕を見つめる園長が居てーーー
やっぱり。
引かれた…
今度は急に自分のしている事に怖さを覚えて慌てて掴まれた手を払おうとしたのに。
グッと。
逆に逃げられないように捕まってしまって。
「鬼畜過ぎて俺がおかしくなるだろうが…」
そう言ってカチャカチャと器用に片手でベルトを外す。
さっきから言ってる事とやってる事が繋がらない……
逃げられない状態で尚も園長は服を脱いでいく。
そしてするりと下げた下着から勢いよく跳ねっ返りながら。
僕の顔の前に飛び出した。
アレ。
それと同時に捕まえられた手が離され。
自由になった途端に今度は顔を鷲掴まれて…
荒々しく唇を塞がれる。
「お前さ…俺がどんだけ我慢してるか分かっててやってんの…?」
激しいキスの合間に息を吐き出すような告白。
角度を変えて何度も口内を貪り尽くし。
「大切にするって決めたばっかりだってのに…………………チッ」
舌打ちすら、一瞬にして下半身への熱に変わる。
剥ぎ取られるようにあっと言う間に裸にされて。
互いに昂った熱を感じながら。
風呂場へと縺れ込んだ。

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