イクメンウォーズ #13

「ミヌ君はお子様ランチですね、えっと僕はこのパスタかな…あ、園長は決まりましたか?」
「あぁ、俺はオムライス」
「へっ?」
「あん!?何か文句あるのかよ」
いいえ、ありません。ありませんが。
可愛いです///
なんて、言ったら多分殺されるな。ふふ。
僕は今、幸せの真ん中に居る。
右には可愛い可愛いミヌ君が口の周りを茶色に染めてハグハグとハンバーグにかぶり付いている。
そして左には。
「あ?何、見てんだよ、、、」
いえ、すみません。
口ではぶっきら棒な言葉を発しつつも、そのお口からはボロボロとケチャップ味のご飯粒が溢れ落ちていた。
ぷっ。
・・・可愛い。
もしかしたら5歳児にも負けない位の可愛いさじゃないかな?
今日はサラサラヘアだからまだオムライスも似合うけれど、普段のヤクザな風貌でオムライスとか、、、
ぶ、ぶぶぶっ。
「ママ~鼻」
ハッ‼︎
また、やってしまった…伸び切ってた。
だらしない顔、してた…(泣)
「ふっ」
今、園長が笑った、、?
あぁ…その顔で僕を見つめないで………!
ああっ、、また髪を掻き上げた‼︎
か、かっこいい…………///ひゃっ
「ん、どうした?俺の顔になんかついてんのか?」
「あ・・・えっと、口の横に…ケチャップが」
「ん、」
ん?何何何!?
「ほら、早く取れよ」
あ、そういう事か。
僕はこっちに顔を向けている園長の口の端をひょいっと指で何気なく。
いつも園児達にしているみたいに拭ったら。
一瞬、園長はカッと大きく目を見開いて。
え?って僕がキョトンとしている間に、
ペロッ
てぇ…
「えぇ!?//今、、、え!?」
僕が拭った指を咥えるでも無くてしゃぶるでも無くて。
わざわざ、舌を出してケチャップを舐めたんだ。
なんかそれが、ゾゾゾゾ…って。
「まさか指で直接取るとは思わなかったな」
トントンと、園長の綺麗な爪が音を立てて叩くのは手前に置いてある紙ナプキンだった。
ハッ、しまった、、、
つい、いつもの癖で‼︎園児と間違えてしまうなんて~
「意外とだーいたん、チャンスニ」
そう言って園長はふっと。
鼻先で笑ったんだ。
カァアアァ、、、は、恥ずかしいっ。
舐められた指が熱くて熱くて…
と、同時に舐め取った園長の柔らかい舌が脳裏に焼き付いて離れない。
はぁ…ううっ…
お腹も膨れてニコニコ顔のミヌ君の手を引き、レジで会計を済ませている園長に近付く。
すると、レジのお姉さんが。
「あら、可愛いですね~♪ボク、何歳ですか?」
なんて愛想良くミヌ君に笑いかけるから
「あのね、あのね!今日で6歳なんだよ!」
そのお姉さんに元気良くミヌ君が答えた。
「えっ!?」「あぁん!?」
・・・今日で、6歳?って!?
僕等は知らなかったんだ。
今日がミヌ君の誕生日だって事に。

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