純真 episode 5

翌日、昨日の出来事をぼんやりと思い返しながらまたあのビルへと向かう。
…ひと目、見た人を惹き付ける不思議な魅力。
そして何処となく憂いのある後ろ姿。
思い出す度に胸がざわつく。
「…………チャンミン…」
はぁ。
「おーい!チャンミン!!」
「わっ!!!!びっくりした」
耳元で呼ばれた声に驚いて振り向くと苦笑いしているミノ君の姿があった。
「あは、ごめん。呼んでるのに気付かないからさ。何?悩み事?」
「あっ、いや、そんなんじゃないけど。
…仕事の事とか大丈夫かなって。」
…本当、いくら給料がいいからってホストクラブなんて僕には場違いじゃないだろうか。
そんな心配を他所にミノ君はまたあの笑顔で
「チャンミンなら大丈夫だって!
だってその容姿、絶対にあの人のタイプだもん。」
ふふふ~♪
と意味の分からない事を残して足取りの重い僕を引き摺るようにお店に連れて行った。
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ミノ君の説明ではこの会員制のホストクラブへ出入り出来るのは極一部の選ばれた女性達のみ。
主にキャリウーマンとしてトップに立つ女性をオーナーが選んでいるとの事。
お店に来るにはこのビルに入るカードキーが必要で、どうやらこれがとてつもなく高い会員費じゃないかとミノ君は考えているらしい。
とい言うのもお店ではお酒やフルーツをそれ程頼む事もなく毎日のようにお目当のホストに会いに来る女性が多いそうだ。
ただ日々の愚痴を話して帰る、まるで『彼氏』に会いに来るかのように。
女性達を迎え入れるホストに個性を求めてるのはそれぞれに合った『彼氏』を探してもらう為…なのかもしれない。
「チャンミン、昨日会ったと思うけどこちら僕等と同じフロアスタッフのカンタ先輩。」
「チャンミン君、宜しくな。
何か分からない事があったらいつでも聞いてくれていいから。
フロアスタッフはそれぞれに担当を持つけどお互いに協力してるからさ。」
ん?担当?何だよそれ。
???の残る僕の顔を察してミノ君が
「その説明はこれから!
僕達フロアスタッフはチャンミンを含めて5人なんだけど、それぞれに受け持ちホストが決まってるんだ。
僕はね…」
と言うと昨日のシフォンブラウスの似合う彼と有名店の紙袋と言われた彼を指差し
「まだ未成年のテミンとキレ者のキーさん」
と教えてくれた。
その声に反応したのか少し離れた所に居たテミンがミノ君の腕に絡まるようにしがみ付き
「ミノヒョン♡
新しく来たスタッフさん?
わぁ~綺麗な人!絶対に…ヒョンの好みだよねぇ。
あー良かった。これでヒョンのご機嫌も直るかな。」
んんんん?ヒョンの好み?
僕がミノ君の好みって事???
思わず一歩後退りしてしまった…
その時
「おっと」
後ろを通る人とぶつかってしまった。
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