Sirius~星がくれた恋~ #34

「そんな事をしてたらいつの間にか料理する事にも興味が出て来たっていうか…誰に食べさせる訳でも無いのに腕が上がったんですよね」
「…そう、だったんだ…」
チャンミンの母の死。
それを聞き、ユンホの中に抱いていたチャンミンの物悲しげで愛に飢えた一面…その理由が分かった気がしたのだ。
「ごめん…俺、変なヤキモチ焼いて、、」
「いいですよ、気にしてませんから…寧ろ嬉しかったかな…」
「…ん?どうして?」
「…初めてなんです、誰かの為に料理をしたのは。だからそれを美味しかったって思って貰えたから」
少し伏せ目がちに照れて笑うチャンミンに。
ユンホの胸に甘酸っぱい物が広がる。
この手で抱き締めて。
どんなに自分がチャンミンを想っているかを教えてやりたい。
願わくばチャンミンにとっての初めてを全部、自分が奪い去って。
独り占めしたかった。
こんなに繊細で。
儚くて。
そして綺麗に笑う…
愛おしい人を。
「チャンミン…」
ユンホの熱い指先がチャンミンの頬を滑り降り。
見つめ合って
溶け合って
唇が重なる…
「っ…せ、…んせっ…?」
ユンホの息遣いが荒く、絡み付く舌にチャンミンの呼吸が塞がれ。
けれどそれ以上キスを迫られると…
「っぷはっ、、、これ以上はっ、、、」
チャンミンが何とかユンホと密着した体に隙間を作ろうとするもその手は押し返され。
「…いいんだ…今日を、、待ってたんだ…」
「…えっ…」
「お前が誕生日を迎える今日を…待ってたんだ…」
「どういう意味……」
"俺はお前を迎え入れるって言ったろ"
それはユンホのケジメだったのかもしれない。
2月18日の0時を回り、チャンミンが歳を一つ重ねて大人の階段を登った。
そんなチャンミンと自分が一つになれるなら…
この日がいいと…
小さい頃、この展望室の天窓から大好きな星空を眺めながら。
寝袋に包まって、父親から天体の神秘を子守唄代わりに聞いていた。
同じ星空を今は………
体内に感じるチャンミンの熱。
眉をひそめれば優しくチャンミンの唇が降り。
時間を掛けて、自分の体が割入れられる。
ほんのりと体に滲む汗さえ愛おしそうに口に掬い取られ。
初めてが辛いもので無いように、と。
そんなチャンミンの想いが端々に伝わって来る。
決して気持ちの良い行為とは思えなかった。
苦痛や違和感が感情の大半を占め、引き攣れる感覚に目眩さえ覚えた。
けれども、必死でユンホを気遣い。
行為に没頭したい中でもユンホの体を優先したチャンミン。
そんな彼の想いをユンホは最後まで全身で受け止めようとしたのだった。
「…痛みますよね」
動かなかった。
いや、動かなくなってしまったユンホの脚を摩りチャンミンは気に病んだ。
何度も腰を止めてユンホの様子を伺うものの。行為は最後まで続けられた。
「ん…大丈夫って言いたいけど…やっぱ痛いな…」
情けないとばかりに顔を覆って苦笑いするユンホであったが。
その心は満たされていた。
「すみません…」
「謝られると俺が辛いだろ」
覆っていた手を退けて、チャンミンの身体を引き寄せ。
自分の寝袋に迎え入れる。
チャンミンの素肌が心地良い。
チャンミンの髪から自分と同じ香りが漂って、更に心地良かった。
「チャンミン、誕生日おめでとう」
「…はい、有難う御座います」
ユンホが髪を撫でる指先がチャンミンは心地良かった。
その指先が頬をなぞって。
顎のラインを辿り。
「来年もまた…
一緒に過ごそう」
触れた唇の優しい温もりがユンホそのもので。
チャンミンは泣きたい程に幸せだった。
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