Sirius~星がくれた恋~ #28

「…落ちて…た?」
ユンホが弱々しく手を伸ばしてそのステッカーをヒチョルから受け取ると。
ユンホの顔は一層青ざめるのだった。
「これ、お前のじゃないのか…?」
ヒチョルはあまりにもユンホの様子がおかしくなったのを不審に思い。
そのステッカーをもう一度確認しようと手を伸ばすが。
ユンホはさっと引き。
「あ、あぁ…多分俺のだよ…片付けた時に落としたんだ…」
スッとポケットに仕舞うのだった。
しかしその様子は明らかに不自然極まりない。
勘の鋭いヒチョルがその事を見逃す訳が無かった。
「…そうか、それならいいんだ」
「水瓶座か…」
その後教員室に戻ったヒチョルは。
ユンホのデスクマットにしっかりと挟まれたステッカーをその目で確認していたのだった。
*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*
「先生!おはようございます」
「あぁ、おはよう」
元気な生徒達の挨拶が校門で立つユンホに掛けられる。
文化祭明けの登校日。
気を緩めた生徒がいないか校門で教師達のチェックが入った。
ユンホが体育倉庫で襲われた件はヒチョルによって報告がされていたが。
3人の該当生徒の割り出しや保護者への対応を綿密に相談してからでないと動く事が出来ない、との上の判断により。
その件は休み明けへと持ち越しになっていたのだった。
それ故に
「おはようございます、ユンホ先生」
「…おはよう」
口元の笑いを隠し、通り過ぎていく例の生徒にもユンホはこうして普通に接しなければならないのだった。
「ユノ…大丈夫か?この件が片付いたら暫く休暇でも取ってこいよ」
相変わらず飄々とした態度を崩さない例の生徒に対し、教師側の気の使い方にヒチョルは腹ただしく思い。
そして当事者のユンホがあまりにも惨めで放ってはおけなかった。
「ヒョン有難う、でも大丈夫だから」
にこりと笑ってみせようとする姿が更に痛々しく感じてしまう。
「分かった、でも俺の前でも無理に笑おうとするな」
ぽんっとヒチョルが肩に手をついたその時。
ユンホの視線はヒチョルと交わる事は無かった。
スッと何も言わず。
ただその横を通り過ぎて行く。
チャンミンに向けられていたのだった…
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