2015_09
21
(Mon)12:30

ムソク様の憂鬱 #7




ユン率いる王の組みと、ムソク率いる護衛組みで人数が振り分かれ、いざ決戦の火蓋が切って落とされる。


しかし…



「ムンさん♡」


王の甘えた声色。

ムソクはその声に無意識に体が反応してしまい。


「隙あり」


後もう少しで球を沈めるという所まで来て、その一瞬の隙を突かれ点差を広げる事が出来ないでいたのであった。


終いにはムソク側の組みの者も王の底無しに続く愛敬に骨抜きにされてしまい試合の流れは完全にユンが優先となってゆく。


情けない、ムソクは使えなくなった兵士達を見ては嘆いたが。


ムソク自身、いや…ムソクを筆頭にしてユンに対して甘過ぎるのが敗北の要因であった為、厳しく統率する事も叶わなかったのである。


王がこの様にして度々ムソクに蹴鞠の試合を申し込むのを側近達は渋々承知したような顔をして、内心は心待ちしていたのも事実であった。


普段は王としての品格を保ち、振る舞いも雄々しく愛敬など決して見せはしないユンが。


ムソク相手にこの蹴鞠をする時だけは、王と言う立場を顧みず率先して球を保持する為に。


持っている全ての愛敬を敵対する組みの者に対して振り撒く姿を、遠目ながらも嬉々し心を踊らせて眺めていたのであった。


それ故に尚更ムソクは歯痒く、自分以外の者へも容赦無く愛敬を見せるユンに冷静さを欠き。


試合の流れを取り戻す事が出来ないでいた。


しかしながらこの蹴鞠には何か王の企みがある筈…


その不安は一向に消え去らないまま試合は縺れに縺れ。



結局、正午の鐘がつかれるまでムソクは必死に球を追い続けたのであった。











「………」


「勝利した者の言う事は素直に聞く、良い心がけだねムンさん♡」


子供の様にはしゃぐ姿にムソクの肩は自然と落ちていた。


「…いつ、立つのでしょうか」


「取り敢えず腹ごしらえしたら直ぐかな♡」


「な…正気か?」


「ふふ、善は急げだよムンさん♡」



良からぬ企みは的中する。


ユンは、ムソクのみを引き連れお忍びで王宮外へと出掛ける王命を下した。



…はぁ…



「ふふ…♡ムンさん…」



ムソクの深い溜息は王のほんのりと朱に染まる口元へと吸い込まれるであった。







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