岐路 episode 5
「あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!」
ったく…飲まなきゃやってられない…
「よぉ!悪い、少し撮影が押してさ…っておま、っもうこんなに飲んだのかよ?!」
そう、僕の目の前には既に空のジョッキが3つ…
「…………遅い。駆け付け三杯な…」
「はっ?お前何言ってんの??えっ?もう酔ってるとか?」
有り得ねぇ~って顔をして僕の前に座るこの男はチョ・ギュヒョン、SJのキュヒョンなのだ
何でこいつがここにって?
まぁ話すと長くなるので端折ると、仕事で接点を持ってから意気投合して、アルコール、ゲーム、漫画が大好きなオタク同士でよく遊ぶようになったわけ!
友達の少ない僕にとっては親友と呼べる存在だ
「で?何?どうしても話を聞いて欲しいなんて、珍しいじゃん」
「は?」
「だってお前、飲むと口数減るから大抵は聞き役に回るじゃん」
ビールに口を付けながら僕を見下ろすキュヒョナは何でも知っているんだぞって顔
そう…意外とこいつは鋭い、キレ者の一面もあるから僕もそこが気に入ってるんだけど
なんつーか今日の話をこいつにしていいのか少し迷う所もあった
「で、勿体振らないで話せよ」
キュヒョナに促されてやっと今日の出来事を話し始めた-------------------------------------------
「 そろそろカムバのステージに向けてバンドを組もうと思ってるんだ」
シンさんから何気無く話を振られて
「生バンドなんて流石、気合いが違いますね!」
なんて他人事のように返事をしたらちょっとシンさんは苦笑いをして…
「いや、それで…チャンミンにも参加して貰いたいんだ…」
はっ?
暫くシンさんの言ったことが理解出来なくて固まっていると
「ユノがな、チャンミンの生の声で一緒にステージで歌いたいって言ってんだよ」
な…………っ!またユノか!!!!!
「それにさ、俺も知らなかったけど。チャンミンのギターの腕、凄くいいんだな!」
「ふぇっ…?なん、で…えぇっ?!」
まさかシンさんの口からギターの事が出るとは思っていなかったから言葉を失って、疑問の目を向けると
「ユノからYouTubeでお前がバンドに参加している映像を見せられてさ。あのギタリスト、チャンミンなんだろ?」
…確かに僕は気分転換として時折ギタリストとしてバンドに参加したりしていた
でもあまり顔が知れたり目立つのは嫌いだから常に帽子を目深に被って伊達眼鏡だってして…
絶対に僕だとは分からないように気を付けていたんだ
「俺も半信半疑だったんだけど、今のチャンミンの反応からすると本当なんだな~!いや、能ある鷹は爪を隠すってか。水臭いなぁ、チャンミン!!」
なんて、呆然とする僕を置いて上機嫌なシンさん
いやいや!待て待て待て!!!
この展開…まさか、、、嫌な予感がする……
「…シンさん、それってコーラスだけじゃなくて…」
「何言ってんだよ!勿論、ギタリストとして参加して欲しいって事だよ!!」
はぁー?!
何言ってるのはそっちだっつーの!!
あぁ…何だかもう頭がぐるぐるして何が何だか…
助けて…誰か…僕に夢だと言ってよ…

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