Love Triangle #4

「おはようございます。室長、キムさん」
目の前アイツは爽やかに。
昨夜の出来事が何も無かった事の様に。
普通に挨拶を交わして来た。
「おはようございます!シムさん!」
チラリと俺に視線を向けながらリョウクの挨拶に笑顔で応える。
何も無い事にしたのかよ。
それならそれが一番、俺自身にとっては好都合なのに。
苛ついて仕方が無い。
「すまないな、朝飯も用意してやれなくて」
本当はそんな事を言いたい訳じゃない。
「いぇ、ご迷惑をお掛けしたのは僕ですから…」
違う。
お前は悪くない。
なのに。
どうしてこうも苛つくんだ。
「シム…」
「あっ!会議の時間ですよ、急ぎましょう」
くそっ。
リョウクの奴。
でもこの場で何を言うつもりだったんだ?
はぁ…くそっ。
◆*◆*◆
「じゃあ、今週の金曜日までに各自企画の資料を纏めておけよ。会議に間に合わせられない者はいつでも俺に相談するように。以上、解散」
会議中もずっとアイツの事が気になる。
他の奴と何を話してるのかなんて。
何やってんだ俺。
「あっ、シム。ちょっと残れ。打ち合わせがある」
だから何やってんだ。
最後の1人が会議室を出ると閉め切られた部屋には俺とアイツの2人だけ。
沈黙しか無い。当たり前だな。
ふぅ、と小さく溜息を吐いて話を切り出そうとすると。
先にアイツが口を開いた。
「大丈夫です、気にしてませんから」
何が?
お前の中で何が大丈夫で、何を気にしてないんだ?
先に俺の気持ちを察して。
スマートな対応。
本来なら感謝するべき事だろう。
それなのに俺はもう。
その涼しい顔のアイツがもう。
苛ついて。
苛ついて。
苛ついて…
気が付けば。
アイツの肩を壁に押さえ付けて。
その唇を塞いでいた。
「し、つ、、」
「黙れ」
潤む瞳は何かを訴えて。
絡み付く舌と共にその瞳は静かに伏せられた。
訳が分からない。
どうして何も無かった事にしないのか。
どうして再びその唇を欲するのか。
どうしてこんなにも目の前の男に欲情をするのか。
俺は自分自身が分からなかった。
静まる会議室にアイツの淡い吐息。
薄っすらと朱に染め上げる頬。
大きな瞳を隠した長い睫毛。
それがとても憂いを帯びて美しいと思える事だけは分かっていた。
見惚れる程の妖しい色気に。
堕ちているのに気付かない俺。
いや。
気付かない振りをしたい俺。
その馬鹿げた葛藤の答えは。
「俺はお前が気になるんだよ…」
余韻を残す唇を離れ。
アイツは俺の瞳を捉える。
その瞳に映る俺は"雄"そのもの。
何も言わせまいと柔らかな耳朶に噛み付き。
滑らかな首筋を伝い。
グッとネクタイを緩ませ。
「つっ…!」
綺麗なラインを描く鎖骨にキツく痕を残す。
Yシャツの襟ぐりに見えるか見えないかの位置に赤く染まる痣。
◆*◆*◆
背後に誰かが立つと慌てて襟元を手で押さえる姿に。
耳まで赤く染まる困惑の表情に。
満足感を覚えた。
◆*◆*◆
いつ誰が来るかも分からないパントリーに連れ込んで。
この甘い唇に酔いしれる。
従順に声も上げずに俺の舌を受け入れるアイツ。
淡い吐息で狭い室内はあっという間に色香に染まり。
離れた唇から糸を引く唾液が別れを惜しむ。
濡れた唇がまだ物足りなさを告げ。
もう一度。
その唇に触れる。
「お前、案外可愛くないな」
壁に背中を押し付けてその耳元にそっと息を吹き掛けて囁く。
「えっ…」
潤んだ瞳がゆらゆらと見つめ返す。
「明日の会議に出す資料、何で俺に相談をしに来ないんだ」
瞳を伏せて俯くアイツ。
「あと少しで終わりそうなので…」
ほらな。
「だからそこが可愛くないんだよ」
驚いて見上げた顎を捕まえ。
甘くて蕩ける余韻を残した唇に。
再び触れ。
「もっと俺に甘えろよ」
丸っこい頭をくしゃくしゃに撫で回す。
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C.O.M.M.E.N.T
No title
「せんせーい。シム君がセクハラされてまーす」
「どれどれ、ああ、シム君は嬉しがってるから、これはセクハラではないんだよ。これはね、ただのイチャコラって言うんだよ」
723621mam様
「はいはい、mamくん。よく先生に報告してくれましたね。で?どうしてそんなイチャコラを君が知っているのかな?ん?」
どうも、コメント寸劇有難う御座います(爆笑)
笑わせて頂きました。なるほど、そう来たか。
ぷくくく。
ところで三段シム活用のmamさんのお気に入りはどのシムですか?