2015_10
02
(Fri)12:00

déjà-vu





何かに誘われるように一本奥の路地へと迷い込む。

決して一人で出歩いてはいけない区域。

けれど迷う事なく足はある建物の前へ。

脇の階段が地下へと続く。

その先へ、先へと体が吸い寄せられる。



固く閉ざされた重厚な扉。


手を触れれば火傷しそうな程の衝撃が走る。




その痛みを押し退けて進んだ先には。







「いらっしゃいませ」




身なりを整え愛想を振舞う男達。

それでいて機械仕掛けのロボットの様に規則正しく。


客の応対は細やかく。




此処はアンダーグラウンドの世界。





「お客様はお一人で…?」



警察で無いのは見た目で分かりそうだが

如何にも場違いなのは確か。


「えぇ」


「初めてでいらっしゃいますね」


物腰の柔らかい口調。

けれど見据える瞳は鋭い。


来る客、全員の顔を認識でもしているのだろうか。


「どうぞ、此方へ」


通されたのはバーカウンター。

やはり、此処本来のお客とはみなされなかったようだ。



違法カジノ。


こんなに大っぴらに行われているのも珍しい。

まして、ふらっと足を踏み入れた僕なんかをすんなりと店に迎え入れるなど有り得ない話。


「お飲物は如何なさいますか?」


「ワインを」


にこりと微笑み


「お薦めが御座います、お口に合いますように」


丁寧な応対に隠された真意すら読み取れない。


差し出されたワインを一口含んで喉に流し込む。


「美味しい…」


口の中に広がる芳醇な香り。






「それは良かった。私が選んだワインなんですよ」


突然、背後から声を掛けられゆっくりと振り向くと


一目で心を奪われた。



艶めく黒髪、その隙間から覗く二色の瞳。


左目だけが赤い。


けれどそれさえも魅力の一つに思える程にその人は美しい。


「道にでも迷いましたか…?」


「いえ…」


「此処は君のような人が来る場所ではありません。それを飲み終えたらお帰りなさい」


二度と此処へは来るな…との警告。


けれど憂いのある微笑みは完全に拒絶していないようにも取れる。

寧ろ僕には "またおいで…" と言ってるように思えた。











「何故また来た」


迷惑そうな表情を作り舌打ちさえ混じる。

明らかに昨夜とは違う応対。


「マスターに来るなと言われただろう?」


溜め息を吐きながら呆れ顔、お前は馬鹿か?とでも言いたげな様子。


何も言い返せない。

自分が会いに来たのは目の前の男では無く、昨夜会ったあの美しい人。

恐らくその人がマスター。


マスターに来るなと言われても尚、体が勝手にこの店に向かう。

そんな事をこの男にどう説明のしようが無い。




「ヒョクチェ、いいじゃないか。足が勝手に進んでしまったんだろう…それとも、私に会いに来たかい?」


全てお見通し…?

マスターの微笑みは麻薬。

一度嵌ればもう抜け出せ無い。




首を縦に振れば


「そう…、君はワインが好きだったね?さぁ、おいで。私と一緒に楽しもう…後は頼んだよヒョクチェ」


断る理由等ある訳が無い。

貴方に会いに来たのだから。









「…………っ……ん……………ふっ、、」


喉を抜けるワインが甘いのか

それともこの柔らかな唇か…



自分の唇をあの美しい人が

吸い寄せてはぷるりと離れる度に



下半身に熱が籠り出す


あの人もそれに気付いている筈。




「君は美しいね…そして美味しい…」


熱の籠った瞳で頬をざらりと撫でられれば


ぞくりと体が震える



「…チャンミンです」


その潤んだ唇から自分の名を呼んで欲しいと願った。


ふわりと艶のある笑み


「そう…、私はチャンミンをもっと知りたい。さぁどうする…?」


返事なんて必要が無い。

もう一度、その唇を重ねればいいだけ。


貴方に僕を捧げたい。



「嬉しいよ…チャンミン」









熱い交わりが脳を溶かす時


ふと懐かしさが擦り抜ける




僕は…貴方を愛している…

出会う前からずっと…










「おいでチャンミン」


事を終えてベッドから抜け出そうとする僕を

あの人は引き寄せる。


「そんなに急いで帰らないでくれないか?寂しいだろう…もう少しこうしていたい…いや、ずっとこうしていたいんだ…」


白い腕に包まれて何年も前からこの温もりを感じていた様に…

するりと体が滑り込む。


「君は笑うかもしれないが、何だか懐かしい気がするよ…チャンミン」


同じ事を感じている…?


「私は君が愛おしい…愛しているよチャンミン」


これはdéjà-vu…?












「マスターと寝たのか?」


店を抜けて外へ出ようとすると


またあの男。


「貴方には関係の無い事です」


苦手だ。見透かした目が嫌だった。


「そうだな、悪かったな」


此処に来る理由はあの人に会うだけ。


それ以外、長居する意味が無い。




扉に手を掛けるとまたあの痛み。



「…なぁ、それ…毎回そうなのか?」


静電気か何かだと思っていたのに。


「えぇ、何か…?」


明らかに顔色が優れない。


「運命(さだめ)か…皮肉だな、生まれ変わっても同じか…」



運命…生まれ変わり…



「美しい容姿で見るものを惑わす堕天使ルシファー…そしてその者を封じ込める力を持つメシア…」


なっ、、、


「お前とマスターの運命だ」








僕が此の地に現れる時。


それはサタンの復活が近い事を意味する。



あの人がルシファーからサタンへと変貌を遂げる前に…


此の手でその力を再び封じ込める…………




その為に引き寄せられた、、、

けれど再びあの人を愛してしまったのか…?



「完全に封じ込める事が出来なかったお前を、神は下界に落とした。そしてルシファーとまた巡り合う時を…こうして待ち侘びたのさ。」


神、下界…じゃあ


「貴方は…?」


「神の使い、そして…あいつの友だった…天使さ」


天使…


「何故、此処に…」


長い溜息。


「お前達が再び此の地で出会う時、永遠にその魂を鎮める為に遣わされた…
けどな、ちょっと気付くのが遅かったな…
愛し合う前に使命を告げなければ意味が無い」


「遅い…?」


「あぁ…お前にあいつを永遠の眠りに鎮める事が出来るのか?」



やっと出会えたあの人を…此の手で…そんなの…










「そういう事か、随分長い間…私は大事な事を忘れていたものだな…」


マスター、、、


「聞いていたのか…
お前が完全に記憶を取り戻せなかったのは神の仕業。
邪悪なる魂を三たびその体に宿すのはお前次第…
このままメシアと俺の手によって永遠の眠りに就くか…
それとも…………」


「…魔力が未完のこの状態で自ら命を絶てと言うのか…」


「…あぁ…さぁ、お前はどうする…?」



ヒョクチェはマスターと僕を交互に視線を落としてその答えを委ねた。


けれどその答えを出した時、此の手で愛する人を葬り去らなければならない…


マスターが拒んだとしても結果が変わる事など無いのだから。


「…………答えは出たな」


ヒョクチェが構えた瞬間、微かにマスターに魔力が宿り。


咄嗟に僕は双方の間に体を割り込ませてヒョクチェとマスターの力をその全身で受けた。








魂が肉体を離れ。


ようやく使命から解き放たれる。



けれども。


傷付いた肉体よりも解放された魂が悲鳴をあげ、もがき苦しんでいる。



「…チャンミン」


意識を魂に戻すとヒョクチェの哀しそうな顔。


「…あの人は…?」


ヒョクチェの沈黙でその答えが分かってしまっていても聞かずにはいられない。


「自ら命を絶った…もう二度とあの邪悪な魂が復活を遂げる事はこれで無くなった…」


思っていた通りの答えだ。


本当の意味で解放されたのに気持ちが追い付かない。




「けどな、神はお前に名前を与えただろう?それと同じくあいつにも名前を与えていたんだ…」



"ユノ"


「お前はその名を探してもう一度、生きろ」








神は僕等の愛を


再び試してみるのだろうか




そして再び出逢えた愛を


今度は許すと言うのだろうか







しかし僕の心は決まっている




"チャンミン"として





生きるのみ










end










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C.O.M.M.E.N.T

堕天使♡

あゆさんこんにちは\( ˆoˆ )/
今日は堕天使ルシファー!!
天使とか悪魔とか、そういう世界観すごい好きです♡
お昼休みにドキドキしてしまいました(///ω///)
ユノさんの赤い片目ふおお♡
もうやばいですー(///ω///)
あゆさんやっぱりすごいです!!
あの、昨日は大変失礼なことをしてしまってすいませんでした( ・ ・̥ )
ほんま私はアホなんです( ・ ・̥ )

2015/10/02 (Fri) 12:42 | しおん #- | URL | 編集 | 返信

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2015/10/02 (Fri) 14:04 | # | | 編集 | 返信

しおん様

こんにちはヾ(*゚ェ゚*)ノコメント有難う御座います♡
どぉもけいこです(≧∇≦)b ってのは冗談で(笑)大丈夫ですよ*\(^o^)/*何ら問題はありません(笑)

おっ!喜んで貰えてますw(゚△゚)w ??
これ没作品だったんです(笑)しかも3月に書き上げたまま半年間も放置していたんですよね(+_+)
出すタイミングも無いし、需要も無いし、纏まりも無いしで。
でも在庫整理するのにもう一度読み直したら、まぁいいかな?って思えてそのまま投稿しました♪
Aliさんの素敵なイメージ画像のお陰で1.5割り増しで良く見えますね(笑)

こんな世界観、私も大好きですヽ(〃∀〃)ノ
天使とかファタジーとか♪♪しおんさん合いますね♡

2015/10/02 (Fri) 14:25 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

なんか海外ドラマみたい( ・ิ౪・ิ)

あゆさん こんにちは♡
美容室で綺麗になってるかしらん?
おおーと 今日のデジャブは
天使とかルシファーとか
海外ドラマのスーパー
ナチュラルみたいですねぇ(゚ロ゚)
知ってますか?イケメン兄弟の話♡
片目が赤いユノさん!(//∀//)
かっこいいわ(๑´ლ`๑)フフ♡

2015/10/02 (Fri) 15:27 | くみちゃん #- | URL | 編集 | 返信

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2015/10/02 (Fri) 22:44 | # | | 編集 | 返信

れ***様

こんばんは(*^_^*)コメント有難う御座います♡
ふふ♪在庫整理で半年も前に書いたヤツを放出しましたのヾ(*゚ェ゚*)ノ
喜んで貰えたのなら削除しなくて良かったです〜。゚(p'д`q*)゚。
単語だけは知っていても内容は探った事もないのってありますよね。

結構無理のある内容だったのでドキドキしていたんですけど、れ***さんは好きだって言ってくれるかも| |д・) ソォーッ…
とちょっと期待してました♡♡
だから尚更嬉しいですよ(੭ु ˃̶͈̀ ω ˂̶͈́)੭ु⁾⁾

2015/10/02 (Fri) 22:52 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

くみちゃん様

こんばんは(*^_^*)コメント有難う御座います♡
美容院は息抜きなんです(*˘︶˘*).。.:*♡担当の美容師さんと凄く意気投合してしまって、髪も綺麗なるし、お喋りして気持ちも上がりますしね♪♪♪

海外ドラマ‼︎知らなかったです(°0°)‼
くみちゃんさん物知り♪♪♪
直ぐにググりました♪イケメン主役(๑°ㅁ°๑)‼✧
まさにユノとチャンミンでお願いしたいですよね♡♡♡

Luciferはシャイニちゃん達の曲で気になっていて、それを調べた所からこのお話が生まれたんです(*´罒`*)ニヒヒ♡

このAliさんのイメージ画像、かなり素敵ですよね!?赤目のユノさんがまぁカッコイイカッコイイ♡♡Aliさんに感謝ですわ♪

2015/10/02 (Fri) 22:59 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

A***様

こんばんは(*^_^*)コメント有難う御座います♡
うわっ‼︎A***さんに一番読んで貰いたかったんです٩(๑>∀<๑)۶わーい
これは半年前に書き上げていて放置していたんです。削除もしようかと思っていたんですけど。

でもA***さんの画像を見て「これは‼︎」って思いました♡ビビビッでしたね(笑)
命を吹き込んで頂けてこうして陽の目を見れて良かったですよ。゚(p'д`q*)゚。

赤目とか細かいリクエストして申し訳ないなぁと思いつつ、それを叶えて頂けて最高に嬉しかったです(*≧艸≦)♡

ファタジーな雰囲気にぴったりな題字も素敵♡
ファタジー好きですか!?私も小さい頃からよく読んでました♪
妄想に拍車がかかりますよ〜〜

本当、いつま我儘を120、いや200%で叶えて下さり感謝しています♡

2015/10/02 (Fri) 23:13 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

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2015/10/04 (Sun) 19:40 | # | | 編集 | 返信

ひま***様

おはようございます(*'-'*)コメント有難う御座います♡

きゃー♡ひまさん\(//∇//)\やっぱりひまさんと趣向が同じなのかも♪♪♪
ひまさんのオーロラの例えに大きく何度も頷いちゃいましたよっっ‼︎
澄み切った空気に漂う七色の光に筋…ぎゃわわ////
そうそうそんな感じで異空間にいるようなはたまた異世界なのか…現実との狭間にスゥ〜と入り込むイメージで作っています。

でも半年前だとは言え荒削り(笑)
多々反省はありますが、いいんです。また今後の参考にしますから♪

いや〜本当にひまさんとは趣向が合うんだなぁ。
だからひま日記も共感、陶酔しちゃうんだわヽ(〃∀〃)ノ
今まで一度も日記の内容に引いた事が無いですもん(笑)
分かる分かる!とかキュンキュン♡と切ないよぉ〜とかそんな毎日なんですよ\(//∇//)\

2015/10/05 (Mon) 09:09 | あゆ #- | URL | 編集 | 返信

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