2015_04
02
(Thu)00:00

陽だまりの中 episode 3







ユノは不思議な魅力を持っていた。
関わる全ての人が彼に惹かれてしまうという事を本人だけが全く気付いていない。
だから俺は極力、ユノを外に出したくないと思っていた。

彼を助けてから一緒に生活をするようになって、初めのうちはユノに自分の服を着せていたんだ。
けれど、少し彼のイメージとは違う気がして担当のソヒョンに相談をする事にした。

彼女は俺が女性に興味が無い事も知っていて、それでも偏見を持たずに接してくれる唯一の女性だった。

そもそも、こんな小説を書いている俺の担当になる位だから少し変わっているのかもしれない。
一見、彼女はお嬢様で世間知らずに見られがちだが、俺の小説を芸術として高く評価してくれている。
そんな所が人として彼女に好感を持っている理由だった。

そんな彼女もまたユノを初めて見た時から

「ユノさんは先生の恋人なんですか?」

と頬を染めて恥ずかしそうに聞くんだ。

「いや、違うよ。けれどいつかそうなったらいいなとは思うけどね。」

素直な気持ちを口にすると、ぽーっとした顔で

「ユノさんと先生ならお似合いですね」

なんてうっとりとする。
だからもしかして

「ソヒョンのタイプってユノみたいな感じ?」

と投げ掛けた。
するととても慌てた様子で手を顔の前で振りながら

「いえ!!そんなつもりは無いんですけど、、、ユノさんって何だか不思議な色気があるって言うのか。先生と同じ匂いがします」

とふふっと小さく笑った。

流石、官能小説家の担当だけはある。
俺も事実、雨に打たれる傷付いたユノを見た時、その漂う色気に当てられたクチだった。

だからその色気を理解しているソヒョンならユノに似合う服が分かると思って相談を持ち掛けたんだ。

すると彼女はあの大きな目をキラキラとさせて"私に任せて下さい"と胸を叩いた。

それから数日してユノには彼女が用意した物を着せた。
シンプルながらあのしっとりとした色気が損なわれない服にソヒョンのセンスを思い知らされる。

益々、彼女への信頼は上がり、ユノも少しずつソヒョンに懐くようになっていた。
だから更に俺は彼女に要求を増やした。

「いつも頂く差し入れなんだけど、次からはユノの好きな物を買って来てくれないかな」

なんて厚かましいようで悪いと思ったけれど、ユノの喜ぶ顔をソヒョンにも見せてやりたかった。

すると彼女は

「本当に先生はユノさんの事が大好きなんですね」

と嬉しそうに笑って答える。
彼女のストレートな言葉に頭を掻いて

「まあね」

と苦笑いをした。

好きになった理由まで聞かれたらそれは上手く答えられないけれど、"大好きか"と聞かれたらそれは即答で"そうだ"と答える自信がある。

それ位にユノは俺の中で大きな存在になっていたんだ。

ユノとソヒョンが仲良く笑っていると俺まで嬉しくなる。
不思議な魅力に一番嵌ったのは俺だったのかもしれない、そう思った。

けれど、それが醜い感情まで引き起こすなんて考えもしなかった。

ある時、出版社主催のパーティーに出席する為に朝早くから家を空けなければならなかった。
ソヒョンも同席するので他にユノを頼める人が居なく、仕方なく弟のチャニョルに助けを求めた。

ユノも自分と歳は変わらないように感じるけれど一人暮らしの経験が無いのか、家事が壊滅的に駄目だったんだ。
俺もそれを分かっていながら甘やかして来たからユノは未だに何も出来ない。

チャニョルははっきりとは言わないが薄々、俺がユノに抱く好意を感じ取っていた。
命を助けた後も尚、世話をし続けている意味なんて他には無い。
だから気付いて当たり前なんだろうけど。
それでも言及しないのはあいつの優しさなんだと思った。

そんな事を知る由も無いユノは

"チャニョルさんにまで迷惑を掛けてごめんなさい"

としきりに謝っていた。
チャニョルもそんなユノの謙虚さに緊張を解ぐし、俺をニコニコと送り出した。

ユノには言ってないが、チャニョルとは腹違いの兄弟だった。
お互いに喧嘩もする事は無いけれど何処かで線を引いて付き合っている感があった。
そんな俺がいきなり自分の好きな人の面倒をみてくれと言ってくるなんてよっぽどだと思ったに違いない。

それだけ俺がユノにぞっこんだと分かっただろう。

それなのにパーティーの後の打ち上げを断り、早めに戻った俺を出迎える事も無く、チャニョルと楽しそうにキッチンではしゃぐユノの姿を見て頭に血が上った。

振り向いて目が合ったチャニョルがそれを悟り

「ユノさんがヒョンの為に御飯を作れるようになりたいって、、、」

必死に理由を言っていたけれど、俺の目にはユノが自分以外の男と楽しそうにする姿が映っていた。

ユノは実は聡明だ。
俺の書く小説は言い回しをわざと難しくして、文学に長けて居ない者にとっては酷くつまらない物だった。
それを読んで体が反応するユノは頭が良いと分かっていた。

けれど、そんなユノは俺の感情に対しては恐ろしく鈍い。
だから今もチャニョルに向けていた笑顔を俺に振ってくる。

逆に敏感にその空気を察したチャニョルは荷物を纏めて

「帰るね」

一言だけ残して消えた。


キッチンに残されたユノは

"おかえり"

とクリクリとした目を向けて作り掛けのチヂミを指差して

"食べる?"

と愛敬を振り撒いて覗き込んで来る。
その屈託の無い笑顔に先程まで渦巻いていた感情が胸を締め付ける。

ユノだって、ましてや弟であるチャニョルにだって非なんて無かった。
悪いのは嫉妬に駆られた醜い自分の心。
それが情けなくてキッチンに立つユノを抱き寄せ肩口に顔を埋めた。

そんな俺をユノはぽんぽんと優しく背中を叩き、まるで子供をあやす様に慰めた。

もしユノが自分に抱いている好意が同じ想いでなくても、世話をされている代償として体を触らせてくれてるとしても、それでもいいと思った。

もう張り裂けそうな想いに耐え切れず、ユノの唇に自分のそれを重ねた。

"仕事"なんて嘘がいつまでも通用するなんて思ってない。
けれどその唇に触れるのが怖かった。

これ以上、ユノの魅力に嵌るのが怖かったんだ。


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C.O.M.M.E.N.T

No title

おはよ。

コメの文章考えてたら電車で寝ちゃった。
もう着いちゃう。
またのちほど。

2015/04/02 (Thu) 07:29 | 723621mam #- | URL | 編集 | 返信

No title

昨日はツヤツヤのいちごだったのに。
まずヨジャにびっくり。
チャンミンとユノの日常。
第三者がはいることで、感情が複雑になるね。
好きか好きじゃないかだけですめば、簡単なのに。
はぁ、
オーラス。
感謝して、感謝して、愛をさけんできましょう。

2015/04/02 (Thu) 13:15 | 723621mam #- | URL | 編集 | 返信

Re: No title

723621mam様

コメント有難うございます(*^o^*)
先に写真が出るとイメージが先行しますね。
ヨジャ絡みかと思いきやのパターンです。
感情だけの世界なら簡単なんですけどね(。-_-。)

昨日はお疲れ様でした。
私は昨日のユノの発表の時点で震えが止まりませんでした。
今日はその勇姿を目に焼き付けて、愛と感謝を叫んできます!!

2015/04/02 (Thu) 13:45 | shin #- | URL | 編集 | 返信

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